gコンテンツ流通推進協議会presentsG空間EXPO特設サイト

 

リレーインタビュー

小川 紀一朗/住田 英二 空間がメディアになる世界  G空間の可能性------ 慶應義塾大学 武山教授に聞く
應義塾大学 経済学部教授 
武山 政直

インタビュアー鈴木潤一鈴木 潤一(すずきじゅんいち):日本情報処理開発協会 研究員
日本電気(NEC)に入社。日本で初めて勘定系システムにおけるISO9001取得の実行責任者として活躍。 日本オラクル転職後、データベース管理システムの講師を経て、製品マーケティング部において、当社主力製品であるOracle8の出荷管理から技術マーケティングまで全て行う。
サンマイクロシステムズ転職時、当時出始めのEnterprise Javaに関する啓蒙、普及に努める。 再び、日本オラクルに戻り、Webサービスのエバンジェリストとして活躍。SOAPを用いた日本の大手ベンダーと世界初めての相互接続実験を成功に導く。 BPMソフトのエピアンス社の立ち上げを行う。インドのバンガロールとシリコンバレーとでインド人とともに開発のマネジメントを行った。 その後、当時、経済産業省で始まった情報大航海の理事企業として参画。 現在は、日本情報処理開発協会(JIPDEC)の研究員として、個人情報の利活用の制度設計を行う。

高度地理空間情報社会の実現に、今後必要とされる社会基盤や、成長が期待される市場やサービス分野の可能性とは?G空間社会がもたらす未来像について、JIPDEC鈴木 潤一が、慶應義塾大学 経済学部教授 武山 政直氏 に聞いていく。

“空間的集合知”でとらえる価値
人から情報を集める、そして集合知として還元する

鈴木) 武山先生が現在携わっています地理空間情報を利用した研究についてお話をお聞かせください。

武山氏) 大きく分けると二つの軸があるのですが、センサーやGPS、モバイルが普及したことによって、情報を暮らしている人から集めることが可能になった時に、地理空間情報を人から集めることがどういう価値を生み出していくのかという問題意識を一つ持っています。

わかりやすい例ではウェザーニューズさんが展開しているモデルで、利用者参加型で天気の情報を全国から集約することで、一種の集合知として価値を生み出し、それを皆様に還元してゆくモデルです。天気をテーマにするという非常にわかりやすい例の一つです。天候のような自然現象に係わる事象だけでなく、街で起きていること、人の暮らしを対象にしたことが社会的な実証に応用可能じゃないかと始めている取り組みが幾つかあります。

去年のJIPDECの調査でも行った例で、人だかりがどこにできているかを目撃した人が携帯で情報をシェアしていく。ある程度データベースに蓄積していくと、後からそういうものを見つけた人は、すでに誰かがレポートしていれば、どういう理由で人だかりができているかがすぐわかるわけです。

人の群衆は繰り返して起こるケースと突発的に起こるケースがあります。繰り返しに起こるケースに関してはどんどん情報が蓄積されていきますし、突発的に起こるケースに関しては似たような情報を集めますと、群集という単位でコンピュータが認知するプログラムを作ることで、人々の関心事がわかるわけです。

みんなで共有することによって行列が行列を呼びます。賑わいの増殖のようなことが、こういうシステムによって出来るのではないかと思っています。ただ、これを行うメリットがはっきりしていないといけないので、行列に対して、第一発見者が☓☓行列と名付けるネーミングライツを与えるとか、行列を報告した人はインセンティブが得られるとか、行列を見つけた者同士でコミュニケーションを起こる仕掛けを入れるなどです。まだまだ実験的なモデルですが、人の街中でやっていることをお互いに共有し、位置情報をつけて集めていくことで、色々な商業的な集客、プロモーション、街の活性化に応用していくことが出来るのではないかと考えています。


慶應義塾大学 経済学部教授 武山 政直氏

鈴木) 具体的にはどのような実験でしたか?

武山氏)原宿表参道で、昨年の12月に短い期間で行いました。

鈴木) その時に利用した携帯機器は何でしょうか?

武山氏)携帯電話で行いました。今ではiPhoneやスマートフォンが普及し始めてきましたので、そちらに移行すればもっと面白かったですね。場所もこのときには原宿と表参道で限定したため、興味がある人がそこにいないとできませんでした。全国で出来れば良かったと思いますが、今回は行列ができるエリアを前提として行いました。

鈴木) 各自がケータイというセンサーを利用して、集合知を集めて、先生のところでフィルタリングを含む処理を行い、面白い結果を見つけていくのですね。

武山氏)同じく昨年度ですが、空間集合知をキーワードに「駅2.0」という実験をしました。駅の利用者から情報を収集するため、朝の通勤客にアンケートを実施し、集計し、再び駅の帰宅時間帯にサイネージ等で、駅の利用者に朝のアンケートに基づいた情報を提供します。そうして駅ごとに比較すると地域差がわかり面白い結果が出ます。駅にもよりますが、ファッションなど、今年は何が流行りそうだとかのトレンドがわかったりします。

鈴木) 流行を掴むことができて便利ですね。

武山氏)みんなで流行を作っていくという感じですね。今まではトレンドセッターや企業が今年の流行はこれだと専門家の意見として出すメディアがありました。街中で一般の人の流行はこれじゃないかと集めていくことはあまりやっていませんでした。街の中から流行をそのまま共有するということです。

鈴木) まさに流行を作り出していくメディアになりますね。一般的には集合知はマーケティングデータとして取得することになると思いますが、どのような視点で選ばれているのですか。

武山氏)とりあえずわかりやすいところからいつも研究を始めていきます。流行だとファッションとかですね。学生が研究室の中心になり活動しているので、比較的わかりやすくて人に提案したときも実験に参加してもらいやすく身近な、興味を持つようなテーマが必然的に出てきます。

鈴木) 先生のWebを拝見させて頂いて、学生が企画から参加しているようですが、自発的にやっているのでしょうか。

武山氏)「空間的集合知って何だろう」といった学術的な共通のテーマを投げかけて、どういう風にやっていくかは学生が主体になってやっています。皆、大変興味を持って取り組んでいます。

鈴木) 企業とのコラボレーションはありますでしょうか。

武山氏)クライアントと一緒に取り組む形で、広告代理店、メーカー、キャリアなど多岐にわたります。

鈴木) マーケティングデータをセンサリングして集めるにあたり、難しいと思うのはどのあたりでしょうか。例えばノイズをどのように除去していくかなどフィルタリングの問題はありませんか。

ページTOPに戻る